令和3年度新工日記

お蚕日記⑧(環境化学部)

2021年6月24日 06時00分
部活動

 「お蚕さん」の食料を入手するため、校外に遠征しました。写真の場所は、40〜50年前まででしょうか、養蚕農家が桑を栽培していた山です。学校から車で1時間以上の道のりがありますが、私たちは、所有者の方からこの山での桑の葉収穫の許可をいただいてます。

 養蚕業を営まれていた当時は、桑の木の高さは人間の背丈程に調整されていました。桑は根元まで刈り込んでもすぐに人間の背丈程に成長します。年間3度の刈り込みが可能なのです。とにかく桑は成長が早いんです。つまり光合成能力が高いと言えます。言い換えると、手入れをしなければ、あっという間に大木になってしまいます。この桑畑の桑は皆大木で、日の当たる4〜5m頭上の枝を刈り取って葉を収穫しました。

 もし昔のように養蚕が復興すれば、このように荒廃した桑山が再生され、地球温暖化防止の一翼を担えるのではないでしょうか。さらに、蚕も繭を作るのに大気中のCO₂を使用しているという報告もあります。動物界では非常に稀有な例です。

 人間に翻って考えてみましょう。私たちは微量のCO₂であっても吸収する能力はありません。しかし、私たち人間には知恵があります。その知恵をいかに使うか、その人間性こそ養蚕から学ぶことができると考えています。だからこれからも、絹糸を取るためではない養蚕を継続します。

 この日は偶然にも、カイコの原種であるクワコの繭(抜け殻)を発見することができました!今でもこの森でクワコが生息できていることが確認できました。